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「安さ」は人のためならず

『情けは人のためならず』という諺がある

これは、情けをかけたひとは逆境に弱くなるため、あえて手を貸さず
谷底に突き落とすことがその人のためになる

…という意味ではない。

賢明なる読者ならば「んなこと知っとる」とは思うが念のため…

----引用開始:ブログ「桃の木舎日記」より。
「その人のためにしてあげたこと、それは、その人のためというよりは、
 自分のためになっている。いずれまわりまわって自分に戻ってくる」
そんな思いを持って、普段の生活の中でまわりの人々、
新しい人々と接していきたいが、なかなかそうは出来ていない自分がいる
----引用おわり

つまり、他人に情けをかけることはその人のためにならない
という意味ではなく
巡りめぐってくる情けをもらうため、人様にはどんどん情けをかけていこう

…という意味だ。意外と逆にとられてしまう諺のひとつだ

ーーーーー(閑話休題)

現在のサービスに対する謳い文句でいちばんよく目につくのは

「安いがイチバン」

に類するものだ
確かにインパクトあるし、解りやすいし、
私自身としても「同じサービス」ならば
高いよりはより安い方がサービスの享受者としてありがたい。

それは、市場原理の原点であり、
「より安く、そしてよりいいものを」をサービスの供給側は
スローガンとしてやってきた。
市場で勝ち得た殆どのものは、この競争に打ち勝ったものだ
(一部例外あり。)

しかし、この方針こそが、この国いや世界の産業を蝕んでいる。
本日はそのような話…。

われわれは生活をしていて、今日と全く同じ日が、明日も起きて
ほしいということを望んでいる生き物ではない。

「もっとうまいものを食いたい」
「もっといい服・いい化粧品をつかって、かっこつけたい」
「もっと大きくて『街』に近い家に住みたい」
「もっと子供にいい教育をうけさせたい」

…そのためには、カネが要る。
入金を増やさなければならない。

この「入金」を増やすためには、自己の稼ぎを増やすため
自分が生み出すサービスの質や量を高めるための努力が不可欠だ。

そして、サービスが高まったのならば、高まった分だけ値札を上げていいのだ
それ以外、上で挙げたことを成し遂げる『正当な術』はないのだ。

【正当でないかたち】でやるとなると

・お金持ちを探しだし、殺すか脅すかして盗る
・お金がたまっているところを襲撃し、奪う
・弱いものをあつめ、騙して搾取する

…などが考えれる。考えにとどめておきたいこれらのことは
あろうことか毎日のようにココロない人たちによって実行にうつされているのは
読者のご存知のとおりだ。

努力(成果)にみあう対価が履行されなくなった産業社会は、いずれ破綻する

バスがついたが、やめない。

本件についてのリアルな現状を報告しよう。

私は製造業の職場でヘルプデスクとして派遣されていることは
前に書いた。

ラインの製造管理・製品の開発と品質管理をになうこの職場は
男所帯&年配の人が多い。

ヒトコトでいうと元気なおじさん集団ということになろうか

製造ラインは地方にしかなく、殆どが海外(中国・台湾)などだ
そのため、品質を維持するため、四六時中地方・海外出張している。
自宅に直帰する日のほうが少ないくらいだ。
部品製造・供給を旨としており、とくに低コスト・大量供給が使命なため、
製造拠点は海外に頼らざるを得ないからだ。

国内にて蓄積された品質管理・生産管理をベースとしているものの
市場の要求は年々とくにコスト面について厳しく
さらに多種大量供給を求められており、在庫が発生しやすい。

何百億円も売り上げがあり、みんな海外に飛び回っており、
怠けている人など一人もいない。みんなマジメに自分の守備範囲を
実直にこなしているのに、利益はでるかでないかという有様だ。

こんなにマジメにやっても、こんなにこま鼠のように海外にいっても
こんな調子なのだ。おそらくは日本の製造業の縮図のひとつであると思う
その職場に毎日行き、ITのサポータとしてヘルプデスクで、
現場を直視していると、
「いつ、この【おっちゃんたちの眉間の皺が緩む日】がくるのだろう」
といつも考える。

職場はエネルギッシュだが、時折 途労感が職場を支配する。
そのときは、職場の歪から声を荒げる人もでる。
それはいつもではないのだが…。

そして、今日はコレがいいたいのだが、
こんなにがんばっているおじさんたちの給料は、
【ここ数年殆ど上がっていない】のだ。

『超成熟経済となってしまったのでしょうがない』
では済まされないといつも感じる。
(まさか、【安さ】を追求した結果として、
 巡り巡って自分の首を絞める事態になろうとは、誰が想像できたろうか?)

【無料主義】ともいうべきこのパラダイムは、
いつか、製造立国としてのわが国の「正しくはたらく」という
世界に冠たる「理念」の息をとめる日がくるだろう。

その理念が折れた日以降、この日本に何がおきるか
想像を超える事件が頻発するこの時勢においては
考えることさえ躊躇ってしまう。

…「安いがイチバン」のポリシーからの脱却
それの答えのみが、今世紀の日本の産業を救う答えだ。
しかし、朱色会をもってしても、実はこれについての解を明確にできない

この世紀は、【薄利多売主義】以外のパラダイムを構築する必要がある。
その答えこそ、産業に属するものの、【明日への光】と成りうる。

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