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便器を洗いつづける女

「ねェ、学生さん。あたしは難しいことはわかんないけれど、
 いずれあんたもスーツをきてこのホテルに出入りする客のひとりになる
 だろうけれど、あたしのように毎日ヒト様の汚した便器を毎日掃除する
 人間がいて、ホテル業というものが成り立っていることを覚えていてね。」

…おぼえていますよxxxさん。貴方はいまでも
 私の「見習うべき大人」の頂点に君臨するヒトです。お元気ですか?

のっけから朱色会は何をいっているんだとおもう。

今日のお題は、『見習うべきもの』。

大学時代は、暇も多かったし、自由になるカネを得るためバイトをよくした。
学生のくせに確定申告書を書きそうになったそのバイトの名前は
中規模ビジネスホテルのフロントのバイトだ。

ところで、この仕事はちょっとたいへんだ。
なぜかというと、たいへんな客がたいへんな頻度でくる。

・ホテルマニアのクレーマ(苦情マニア)
・新規採用した、または「その直前の」若い女をつれこむ企業の人事部長
・隔週で同衾する苗字のちがう壮年男女
・フロントを素通りする年端も行かないおんな⇒アフターチェックインする老人
・毎回、宿泊するたびに壁を「汚す」射精男
・顧客の接待の仕事だけを繰り返すよっぱらい営業マン

『有頂天ホテル』に出てくる客など「ちゃんちゃらおかしい」
レベルで凌駕する客は、リアルなホテルでそうとうな頻度でやってくる。

もちろんそのような客も、「お客様」だ。
ノーマルな客とは差別せず同様なあしらいが必要だ。
ホテルとは寝るためのところではない。
客が『本来の自分』をとりもどす場所なのだ。

もちろんそのための教育はうけるのだが、それで溜飲がさがるわけもなく
ストレスのためか法律違反だがタバコが始まった。
『毎月いただくバイト代には、もちろん
 上でのべた客の宿泊・サービス料の 一部が入っている』
…社会が『うつくしない世界』であることを、私は他のヒトよりもちょっとだけ
 早く知っただけのことではあるが、純真な貧乏学生が衝撃をうけるだけ
 の事実であることはまちがいはなかった。

まちがいなくヘビースモーカだったと思う。
ーーそのときのタバコ仲間が、冒頭ででてきたおばさんだ。
彼女は、子持ちだが離婚しており、そして、
…まだオンナの『艶』を有していた。
ホテルでの「主業務」は、マッサージ。しかし、私も手が空いたときは
厨房の皿洗いに駆りだされたのと同様に、おばさんにも「副業務」がある。
それが、客室以外の便所の掃除だった。
(客室は、専門の業者がやる)

…いろいろなはなしをした。
・結婚してみたら、所謂「あたり」で【やくざもん】だった夫のこと
・子供がおおきくなったらあたしのことをどぅみるのか不安なこと
・おもしろい客のこと
・安月給なこと

そんな日が続いたある日前に述べたことを吹き飛ばすような話が、
私の耳に入った…

「xxxさんが、主業務とは別に『客をとって』いるらしい。」

わたしの目の前が、まっしろな霧に覆われた。

まだ、わたしのココロは幼なかった。『彼女がそんなことはするはずもない』
…本人に確認をしたくなったのだ。思い当たるフシもあった。
マッサージの基本料金は40分なのに、
55分とか延長しても70分とか『中途半端』な時間にフロントに戻ってくる。
それで、確認をしたのだが、…その返答はこの本節では述べない。

なぜならば、なぜならば、バスが…ついてしまったからである。
・・・・・残念なコトだ…。

…いつしかタバコは必要なくなったものの、タバコのにおいを捉えると
 「あのとき」の記憶がよみがえる。仕事で涙がでそうになるときも
 これが思い出され、ちょっとだけ踏ん張れる。

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