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ある事業部長との会話【続編】

本節は、拙作既出の『ある事業部長との会話』の続編なので
もしごらんになっていない方は、リンクをクリックしてそちらを
先にご覧下さい。

ーーーーー

「…えぇ、いま私たちがおかれている状況について、xxxさんも「書記長」としてお話ししておきたいのです。」

「…そうだったんですか。先ほどはそちらの事情も
 詳しく知らない私が高圧な態度をとってしまい申し訳ありませんでした。是非お聞かせいただけませんか?」

実は、この会談に臨む前に、主だったプレイヤーたち(もちろん組合員だが)
に、職場の状況をヒアリングを済ませていた。
いつも外にいて(おそらくはトップ営業活動か)居室(現場)にいることがない事業部長は、
自分の眼でそれを確認することもなかったし、聞かなかったのか伝えてくれる人がいなかったのか
…とにかく組合の活動を知らなかった。

【現実の正鵠を捉えるために不可欠な行動】をこの際記しておく

『相確認』(あいかくにん・そうかくにん)という

何かの発言・進言を受け止めたときは、そのことばを鵜呑みにするのではなく、
たとえばそのときにでた対象が人物だったならばその人の話も聞いて、
俯瞰した見渡しをしないと全体像が見えないし、両者のコントロールもままならないものだ

そのときの禁句として
『xxxさんはああいっていた』などと調査の目的や対象をばらす必要はまったくない
逆にそれを明らかにしてしまうとそれがまた調査対象のココロに影響を及ばせてしまうので
吸い取り紙のように話を吸収する胆力が必要となる。

また、重要なこととして、第3者からのまた聞きを全て排除する
メンドウでも直接、瞳と瞳をあわせて会話をおこない、キモチを聴取する。
第3者というものは話をコピーするだけではなく、自分のキモチをかぶせてくるため
とりたい対象の真意が受け取りにくくなることがあるからだ。

おおっと話がそれそうな気配だ。

さて、前もっての取材で得られていたのは

・特定の人だけ忙しい。

・特定の人は固定化している。

・そうでない人はさほど忙しくない。

・忙しい人は、いやといえない性格か、とてもスキルが高い。

・逆はその逆。

という情報を受け取った。

また、この時点ではどちらも事実ではない

事実とは、両方の話の『差』の中に存在する。

…んで、会談にもどろうか…

ーーー

「それで、折行った話しというのは、どんなことなのですか?」

「実は、わが部署は『人材の流出』がとまらないのです。」

「……流出?」

「はい。4月から数えてxxxヶ月が経ちますが、中堅の有能な人間を中心に、退職者が急増しています。
 どうやら、自分で見つけるというよりは、取引先を通じて引き抜きにあうようなのです」

「……組合員のかたは把握しています。組合脱会届けを提出していただいていますので。」

「…そうですか?その方は何か組合に会社を辞める理由をおっしゃっていましたか」

「いぇ……突然会社をうつることとなったということだけ伺っております…
 (などといってみる。本当の事実は異なるが、本節でもこれからもいうつもりはなし)」

「部長会でも最大の懸案事項となっています。」

「どのような理由分析となっているんですか」

「環境要因として、IT技術者としての支払うべき給料が、競合他社とくらべて低いという結論に至りました」

「本当にそうなのですか?」

「実際にリサーチしたり、公的な資料をみると確かに年収や本給で年間20-30ほど全体的に
 低いという結果になり、それが他社へ移る理由なのではないかと」

「まさか、その穴埋めとして…」

「本給の給与体系に手をつけるのは子会社ではムリです。窮余の策として、時間外労働をさせ
 それで、競業他社と同程度の賃金レベルを維持したいのです。」

「xxxさん。それを私に公的に認めろとおっしゃるんですか!」

「事業運営を継続するためにはやむを得ません。もちろん組合としてそれを規定化などはムリであり
 この場だけのお話として、理解していただきたいだけです。」

「腹を割ったお話をしていただくのはとても光栄ですが、組合の立場ではいま頂いた話を呑むわけにはいきません。
 それより、なぜ、雇用者を8H/日だけ働かさせることができるのか、その原点にもどって頂きたいのですが。」

「xxxさん、そのことは知っています。しかし、『そと』は【切った張ったの競争】なんです。そのレベルで話をしないと
 結局敗れてしまい、唯一の「賃金」を得ることができる『事業』を失ってしまうことになるのです。
 経営に携わるものとしては、それを回避する責任があることをわかってください。」

ーーーーーーー(長い沈黙が流れた。どちらもお互いの視線をはずそうとしない)

『…水入りにするか・・・・・』

この話は後日談があり、いつかは書く予定ではある。

本節でいいたいことは、事業部長の苦悩はわかるが、だからといって
やっていいこととわるいことはあるのだ。
顔が緑色になるまで社員を働かせることが、本当に会社にとって善なことなのだろうか
会社は利益を追求し、顧客に喜んでもらうサービスを供給する集団だ。
しかし、そのために、社員が必要以上の苦や哀を背負うことは、人道的にも法的にも
ゆるされない。とくに、そのときは労働者の代表としてものをいう立場にあったから、
経営者の立場の考えにくみすることはできなかった。

…異常で苛烈な競争がつづく。それは今世紀も変わらない。
いつかそれがすべて報われるときがくるのかなァ。その過程で失われるもの、
現実に失ったものを数えるとき、希望よりも暗澹たる感情が、私のココロを席巻する。

本日はこれにて…。ご清聴ありがとうございました。

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