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天使の卵

かたたん。かたたん。映画街が近づいてくる。
男は、考えていた。

『うーん。うーん…どうしようなァ?』

・・・どういえばいいのだろう。

てんたまひとつ。

えッ?ウチは映画館ですけど・・・・

いやッあの!その・・・

どうしたの?

となりのレジ娘が、怪訝に伺いながら割り込んできた。

だ・・だから、てんたま。。

いい加減にしてください!

つかつかと映画館の責任者らしい人が近づいてきた。

また、君か・・・今度はなんだ!

いやあの、てんたま。。

君、ケイサツを呼びたまえ。

はい。

えッ!ケイサツ!!そ・・そんな。映画ですよ。

ウチは、うどん屋じゃないんだ
ひやかしは営業妨害だ。

そうか・・わかったぞ!略さないで、いえばいいんだッ!!

天使の卵ください。

はい、こちらですね。10万5千円になります。

え”ッ。。じゅ・・・ジュエリィ?

うあ”ぁ”ぁ”ぁ”・・どうすればいいんだあ・・・

「…つぎは、千葉中央。千葉中央ォ~」

夢想はここでおわった。おそるおそる入場券をいうと、
つつがなく劇場にはいることができました。…少し
緊張はしましたが(笑

さて、与太話はこのくらいにしてレビューにはいるけれど
いっておきたいことがある。私のレビューの読者の対象は
あくまで映画をみた人しか相手にしていないのである。
だから、まだ観ていない人は、私の話はよく分からないだろう。

観てから、またおこしください。
それでは、始めます。

ーーーーー

「(セリフ)ことばの省略の美学が織り成す間(以心伝心)。」
これを捉えた観客だけが、原作者の隠れたワールドへの鍵を拾う。

鑑賞記:【一徹した、セリフの2つとばし。
     三人の恋人たちの想いはそれでも交錯する】

まずは、シナリオを練った人に拍手を送りたい。
すばらしい!シナリオだ、シナリオ(セリフ)で、
人物が完成している。最近は、このような映画とんとみない。
とても秀逸なものだとおもう。

云いたいことをことばにして話す。
受ける側は、その真意を斟酌して自分の思いを重ね、さらに2つ先の思いを
ことばにして返す。

終盤まで、このセリフの妙技というか、ココロのキャッチボールに
まずは魅了されてしまった。人がなにをおもってことばを紡ぐのか
そのことが理解している人向けのシナリオ構成である。
生粋の文学少女むけの映画だ。

これに気づいた観客だけが、この映画が単なるラブストーリー
でないことを得るわけだね。いや~~堪能。堪能。

…ただし、なぜかこの素晴らしいシナリオは、終盤は切れ味をなくしていく。
クライマックスでは説明口調となり、余計な添え物が増えていく。
これは残念なことでした。おそらくは、シナリオライターが変わったか
最初の優良なシナリオにつき、だれかが改竄をくわえたのだろうな。
ホントにざんねんだ。だいなしになっとるぞ。
本当に・・・残念なことである(2回目。)

さて、とはいえ、この映画。先週みた、「ただ、君を愛してる」よりも
ストーリー展開。動機付け。キャラクターすべて
わかりやすい。
いささかシンプルに見えてしまうきらいがあるが、
映画の素直さという点ではこちらが好みの方が多いだろう。
朱色会もこちらが好きです。

(卵)をひとことで著すならば「とってもまっすぐ」
なんだな。(ただ)のほうは登場人物みんな「とっても不器用」。
どちらが現実に近いか、どちらが自分の理想に近いかは
2つの映画をご覧になった方が、自分の経験(体験ぐふふ)
と照らし合わせて決めることだが。。。
観ていて、、とても気持ちイイんですなコレが。。

さて、それではこの映画を演じてくれた3人にご登場いただくとしよう。

人を愛することに哀しみと恐れを覚えてしまった、コニタン。

悲しみを背負いながらも、無限の「あたえる愛」を放出し続ける、隼人くん。
うーん。こんな男が彼氏だったら。その娘はラッキーでしょう。

姉と恋人に翻弄され続けながらも、愛を待ち乞いつづける女。エリカ。

3人はとてもよく演じてくれたと想う。
隼人のみずみずしいさわやかさ
コニタンの女性としての成熟なところ
エリカのもはや堂々とした女の哀しみと強さの部分
どれも、おそらくは自分のキャラクタから切り出してきたものだろうが
とてもよく表現されていたとおもいます。『演技仕事人』として拍手。

映像も、キャラクターのカラーを壊さない
京都でのロケがとても聞いている。
たしかにな。愛や恋は、ビルディングの林の中だけで
おきるもんじゃないな。紅葉のコントラストが
3人の美しさや儚さによく(効用)されてとりましたね

これは、書こうか、書くまいかいままで暖めていたものだが
この映画で書いておこう。

ひとつの確かな愛のふたりの足元には
複数の泪の屍が、横たわっている
ーー朱色会ーー

ま、だからどうしたということなんだけど。
もしも読者の方で、自分が確かなものを持っているんだとしたら
それは自分の力だけで手に入れたとは考えてほしくない。
それは、相手の力だけでもないということなんだ。
・・・大切にしてほしいね。ほんとに。

あと、きになったところをいくつか。。

やはり、父の最期については言及(補足)しておいたほうがいいだろう

狂人から、常人になる瞬間が、実は一番あぶないのだ。
その瞬間とは、こんな思いが一気にその人を襲う。
・ずっとカゾクを苦しめてきた自分の存在
・また、狂人に戻るのではないかというとてつもない恐怖
・これからも自分が重荷となって存在していかねばならないこと

などだ。これ踏み越えていける人は、そもそも狂人にはならんのだ。

評価:88点

恋愛は、まっすぐやっていきたいな
という方はとくに見ていて気持ちよくなれるだろう。
「つれてきた」彼氏に、(隼人のように)やってくれることを
はっきりとねだるべきだろう。
そのかわり、(エリカ)を強要されることにはなるけどね。
愛はGetするものじゃない。P。。。

…村山由佳 さん。富樫監督。・・・こんなトコでどうでしょうか。

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